Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
もしや、今夜のこの燈も机も、ピラミッドの中の石部屋にあるものではないかと錯覚したりするのである。歴史小説を書いていると、そんな錯夢を時々抱く。自分の頭脳をちょうど超高速のロケット機みたいにつかって、タイムの宇宙を、何世紀もむかしに翔けたり、いっぺんに現代に返ったりするのだった。おかしな仕事だと、時には思うし、またもう自分も老境なのに、その毎日が、一週間ごとが、なんとも短くてしかたがない。
ある民間放送の“読者から作家へ”の手紙質問に、「新・平家」への質問が十数通あったというので、そのうちの一通へお答えしておいた。この小説は、日本の再軍備を伴奏するのではないかといったふうな、質疑というよりはやや詰問である。以前、左派の一部の人の文字にも、そんなのを見たが、ずいぶん気をまわすものだと苦笑にたえない。週刊との執筆契約は、終戦直後のことだし、「新・平家」の落想とて、つい近ごろの機会主義な外国の都合だの、日本政府の日和見から出たケチくさい応急策などよりは、ずっと以前に熟慮もして書き始めたつもりである。ついでにいうが、自分は宣伝文学はきらいだ。また、書いていない。