Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
嘉治さんが来て、にやにやいった。「駅ちがいしたんですよ、社の運転手が。べつな駅へ行って、待っていたが、向うでも私たちが降りないから、いま社へ帰って来たらしいです」
そう聞いて、ぼくらも気がつく。門司の旧駅と海峡トンネルの小倉駅と、一市みたいな街つづきに駅が二つになったのだ。悟空子と社長さんも、ほっとした顔を見せて大いに笑う。まもなく自動車二台、キャメラマン、社会部の人などを加え、この時間を取返すように、ひどく急ぐ。門司市外の和布刈神社から、速鞆ノ瀬戸や壇ノ浦附近を、日の暮れないうちに見ようというわけである。
市外の北端らしい。一方は海峡の磯、一方は岬の崖。「もう、車は行けません」と、降ろされる。
道のわるさ。ぬかるみではない。石ころやら、崖土のなだれである。こんな所まで、戦火は余さなかったものか、焼けトタンやら、まばらなバラックが目に沁みる。
小高い境内を見て、横から登ってゆく。社前の土や石崩れが、すぐ下の磯辺を埋め、以前には風致をなしていたであろう松や杉も、あとかたはない。根株の痕さえ少なく、からくも七、八本ばかり、ひょうひょうとなお潮風に耐えている痩セ木の姿を見ると、「やあ、君たちもよく生き残ったなあ」