Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
いや、日本の覇者のうちでも、どうも清盛の家庭以外にはなかったように思う。公卿にはあったろうが、武門の家庭では、源氏の頼朝、その他の一族を見ても、わずかに、実朝が、万葉調の歌人であったというぐらいなところしか見当らない。
懐中電燈が、あっちでピカリ、こっちでピカリ、揺れたり交叉してゆく。ほとんど、まっ暗になってしまったので、権宮司の田島氏や館員の方たちが、ぼくらの眼に伴って、なお惜しみなく案内をつづけていてくれるのである。いや、考えてみると、恐縮にたえない。しかしまた、去るにも惜しいとするジレンマにも陥ちる。なお珍かな彫刻、染織、仏像、舞楽面、蒔絵もの、熊野懐紙やら消息やらが……応接にいとまもない。それらの物の前に佇めば、今昔の壁を越えて、向うからも、ぼくへ語りかけてくる。
もう諦めよう。石造建築の中の寒さも生やさしくはない。館員方の迷惑はなおさらであろう。国宝、重美百三十点、総品目三千何種というのだから、半月や一月いても、精細に見尽しきれるものではない。ここへ来て、すぐ思い出されたのだが、熊野新宮の什物は、どうしてああヤツレたり荒びているのか。いや時代的には、古びは当然である。