Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

、雪隠口へ捨てて行った。

「これは、どなたので」と鑑識課の手から公示され、「は。小生ので……」と春海さん答えたものの、泥棒にも敬遠された物では、手に取る気にもなれないとみえ、「なぜ、これ一つ、残して行ったんだろう」と、いかにも心外そうである。

一時は、当惑、大狼狽であったが、さて落着いてみると、ヘタに眼がさめて怪我人騒ぎになどならなくって、まアよかったのさ、と皆、こんどは幸福感の方へ考え方を移してゆく。当然、警察当局諸氏にとっては、日常茶飯、いや朝飯前のことに過ぎまい。「ちょうど、いい機会ですから、ひとつ、皆さんと一しょに、記念撮影をねがいたいもんですな」と、鑑識課の若い人がいい出して、キャメラを持ち出す。まるでおめでたい祝宴か何かみたいに、一同、床の間をうしろにかたまり合う。「うしろの方、もう少し顔を上げてください」「も一つ」「もう一枚」「こんどは、笑ってください」などとパチパチ。ようやく庭に朝陽がさし初め、雀がチュウチュウ啼き始める。

警察の人々十四、五人ぞろぞろ帰ってゆく。反町さん駆けつけ、山後支局長は、三人分の洋服を掻き集めるため、忙しそうにどこかへ出かけて行く。