Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
と、健吉さんは、こともなげに笑っている。
拝見だけかと思って感心していると、ぼくにもそれへ何か賛を書いて欲しいというのである。考えてみると、ぼくの寝た日本間にも、半双の屏風が立ててあり、それには、石川達三、中野好夫、久保田万太郎、丹羽文雄、亀井勝一郎、横山泰三、かつての文春座文士劇のおりにでも書いたのだろうか、ちょっと判断もつかないような顔ぶれが十数名も入り交じって寄せ書きしていた。
そういう場合でもあれば手が出しやすい。それにまた、晩はいいが、朝はいけない。だいいち健吉さんの図柄からして、いかにも健吉さんらしく真面目なのである。大いに困ったが、ままよとばかり旧作の歌を思い出したので、
奈良に来ても伊勢路に来ても見れば
見とれぬ
母ある人のはゝ伴ふを
と書いてしまった。歌になっているかいないかは知らないが、どうやら絵には合っているような気がして、やれやれと、筆をおくやいな、玄関へ出て、街の角まで、いとはんに傘さしかけてもらって立った。
雨量も多く、淀川の西岸は、濃霧か雨かわからない程である。車のウインドウは洗い流され、時速七十キロぐらいで走りつづけてゆく。