Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
「この辺が爆撃でやられたとき、ぼくは兵隊として附近にいたので、眼で見ましたよ、無数の死体もね」と、春海局次長は感慨をこめて、肥った神主さんと立ち話を交わしていた。
社家だけは立派に復興している。神殿を先に建ててしまうと、後では、社家はなかなか出来ないものだそうである。
かつての一ノ谷合戦では、生田川一帯は、蒲冠者範頼の攻め口だったが、今は目抜きの市街地だ。「福原びんかがみ」や「摂津名所図絵」にみえる河原太郎兄弟の塚とか二本松なども、見当はつかない。
日本書紀に“生田村ニ杏ガ実ル”と誌されたのが、杏の記録の始めだとか、また古来、ここの神社は松を嫌い、松の木は一本もなく、正月のシメ飾りも、能楽堂の杉戸の絵も、松の代りに杉を描いたなど、話はおもしろいが、縁遠すぎる。
むしろ、大同年間から生田の氏子、つまり神戸(カムベ)の民は、ここで酒を醸造しており、来舶の新羅の外客が入朝の日には、その酒を飲ませる風習があったという方が、ぼくらには耳よりな話であった。
おそらく、その遺風は、清盛がここに雪ノ御所をおき、築港を築き、宋船の入朝を奨励したころもつづいていたのではあるまいか。