Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
――なぜならば、平家方の主将の戦死跡がその線を描いているし、もっと重要なことは、駒ヶ林の浜に平家の軍船が集まっていたことである。安徳天皇もそこの船中におられ、また一ノ谷や生田方面から落ちて来た平家の将士は、すべて、船上へ逃げ移ろうと、そこの一点へ争い集まって来たものと思われるからだ。
だが、義経の来た道が、妙法寺川の線だったとすると、従来の「平軍の本拠は一ノ谷城であった」とする説も、「義経たちの七十騎は、一ノ谷の後ろ山から屏風のような絶壁を逆落しに下った」という勇壮な話も、みんな方角違いとなり、宙に浮いてしまうことになる。
その伝説には、ちと気のどくな結果になるが、事実はどうも、一ノ谷城や逆落し談には、歩がないようである。
何よりいけないのは“城”という概念であった。源平時代にはまだ後世いうところの城郭などは、なかったのである。一ノ谷には、馬糧や兵糧の貯備倉ぐらいはあったかもしれない。それを江戸時代に刊行された源平盛衰記などには、江戸時代の城郭が描いてある。須磨寺附近に、敦盛蕎麦や熊谷茶屋ができたのも、みな江戸時代の繁昌が生んだ名物だし、とにかく、一ノ谷城などという考え方の間違いから、いろんな誤解が生まれ、それへ名所名物のお負けがついて、なお分からなくなって来たものと思われる。