Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

戦端をひらく時間の一致じゃなかったですか」「そうです、それですよ」と、ぼくの質問に川辺氏もうなずいた。

「前日から範頼が待機していた生田川口と、義経と別れて播州路から一ノ谷の海辺へ迂回した土肥実平の手勢と、そして鵯越えにかかった彼自身と、そう三方の攻勢が、時間的に不一致だったら、まったく、大失敗に終わりますからね」

「とすれば、鉄拐ヶ峰へ登って、一ノ谷の上へ出るなんて迂遠なことは、不可能でしょうな」

「馬などでそう易々と行ける山道ではありません。いくら捨て身でも」

「それでおよそ義経の径路はつかめた気がしましたよ。しかし、一ノ谷の奥には、安徳天皇の行宮の址があったり、逆落しやら何やらの名所旧蹟もあるので、そっちじゃない、こっちだと書いたら恨まれましょうな」

「鵯越えは、これまでにも、議論になっていますからいいでしょうが、たとえば、熊谷直実と敦盛の史話などを抹殺したら、それは大変なことですよ。神戸市の名所旧蹟が幾つ減るかわかりませんからな。はははは」

「いや、史実は史実として追っても、庶民の持つ物語的な夢は尊重しましょうよ。須磨海岸には、須磨寺も風致の一つですし、そこの浪音には、熊谷と敦盛の連想もあった方が自然を見る伴奏にもなりますからな。