후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
しかしこの千五百の生霊と夥しい財物を犠牲にして得た人類の教訓は、その後果して忘れられずに、航海という神秘的な事業に従事する人々の間に胆に銘じていると言えるだろうか。最早や既に「タイタニックの遭難」は、一つの色の褪せた伝説になっているのではなかろうか。
当時或る左翼の新聞が、三等船客は全部ピストルで救命艇から遠ざけられ、一等船客中の大富豪とその家族にのみ第一の機会が与えられたと報道して大分問題になったことがあるが、これは斯ういう場合、恐らく事実ではあるまい。誰もが均一に直面しなければならない生死の境いである。食後のデミタスを片手に、長いホウルダアにベンソン・ヘッジスをくゆらして給仕を頤で使っていた紳士と、その給仕とが、ここに同じ人間として、各自じぶんの生命を、自分のそして自分だけの力で守り通さなければならない対等の立場に置かれたのだ。其処にはもう金力も社会的地位もない。あるのは只、各人の体力と勇敢さだけだ。この、厳重に守られて滑らかに動いているように見える社会制度上の区別――約束が、一瞬にして破壊され、顛倒して、皆がみな、自分一個の腕力と気力で自分と自分の愛する者を守らなければならない原始人に還元させられる――難船ということは、考えてみると、革命のように悲壮でもあり、しかし一方大いに痛快でもある。