후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
土から手が
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山のように材木を満載した貨物自動車の頂上に据わって、トニィ・フェルナンデは、キャリフォルニア州聖マテオ郡のソウヤー仮部落街道を、仕事先から自宅を指して走らせていた。一九一九年、三月八日の午後である。
毎日同じ道を往復しているので、其処らの樹木の多い、それでいて、殺風景な田舎の景色には飽きあきしていたが、その癖トニィは何時の間にかトラックの上から、道路の直ぐ傍に迫っている丘の裾、水が涸れて石ころの累々としている河床などに、何か些少な変化でもないものかと、観察的に見て過ぎる習慣となっていた。この時もそうで、トラックの荷物と一緒に揺られながら、退屈紛れに、あちこち眺めていた訳だが、そうして偶然、眼に留まったのだ。三十呎も離れていない河床の向う側に、人間の手が空に漂って、トニィ・フェルナンデを麾いているように見えた。ほんの一瞥である。自動車の速力が早いので、はっと思って振り返ったときはもう其の個処は可成り後方に流れ去って、草木の蔭に隠れてしまっていたが、白昼の幻影や何かとして片附ける可く、彼は「あの手」を余りに判然と見たのだった。しかし、人間の手が、ぽつんと空気に浮かんで――トニィは常識と闘いながら暫らく逡巡った。