후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
この連中は、新たに雇い入れた火夫である。遅れて来たのだ。こうして出帆真際まで姿を現さないので、船では至急に代りの者を乗り込ませて、彼らは既に地位を失っているのだ。もう乗船出来ないことになっている。そう聞かされて、遅れて来た火夫達も黙って引っ込まない。乗る乗せないで鳥渡争論になった。その間に、委細構わず最後の板梯子は引き下ろされ、船と波止場との接続は断たれて、船は、静かに岸壁に沿って滑り出す。呑気過ぎて素晴らしい仕事口を棒に振った火夫達は、遠ざかり往く船を白眼んで口惜しがって地団駄を踏んだ。他の船なら先ず諦めるにしても、White Star Line 会社が巨万の金を掛けた、大きさから設備から世界第一の贅沢船、造船界の革命として大評判になっているタイタニック号が、以前から宣伝に宣伝を重ねてきて、今その紐育への処女航海に大西洋へ乗り出すところなのだから、船乗冥利に尽きる機会である。自分達の不注意からその好機を逸したのだ。取り残された火夫たちは呆然とタイタニックを見送って心から運命を呪った。
併し、彼らの失望と後悔は、ほんの五日で運命への絶大な感謝に変らなければならなかった。