후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
ウンベルト夫人の財産
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重苦しい八月の太陽が巴里を押しつけていた。ウイリアム・ル・キュウ氏は、サラ・ベルナアルの招待を受けて、巴里郊外アンジャン・レ・バンの湖岸に建っているサラの別荘の午餐会へ出かけて行った。別荘は大きな白※の影を静かな湖面に落として、遠くからは上下につながって二倍に見えていた。
食堂の開かれる前ル・キュウ氏は、同じく招かれて来ていた二人の紳士と、マリイ・ドルニヤックという、髪の毛の黒い、活発な少女と一緒に、景勝の地として有名なその湖上にボウトを浮かべて時間を消した。ル・キュウ氏は、その二、三個月前に、トゥルに近い知人の家でこのマリイ・ドルニヤックに紹介されて、顔見識りの間柄だったのだ。サロンのヴェランダから、美しい芝生の傾斜が湖に続いていた。四人は同じ汽車で巴里から来て、すこし早く着き過ぎていたので、食堂があいて呼び込まれるまでボウトを漕ぎ廻った。
ウイリアム・タフネル・ル・キュウは、有名な英国の老大衆作家だ。小説家として亦旅行家として広く知られていて、多くの冒険並びに探偵物の作品があり、「モンテ・カアロの秘密」、「勝利への道」等、今では些か古いが、彼の得意とする密偵ものなど、一頃は日本でも、可成り愛読されたもので、探偵小説の読者には、懐しい響きを持つ名前である。