일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면

아오조라 문고

いきなり女が、両手を上げて鼻の先に振立てたのだ。手首に懸け連ねた真鍮の腕環が、世にも盛大な音を発して、じゃらん! じゃらん――! というのだから、ホルトンは度胆を抜かれた。同時に、女は、猿轡を除られたように一度に饒舌り出した。が、その言葉たるや、である。莫迦に濁音が多かったというから、

「がぎぐげご、ばびぶべぼ、だぢづでど――」

なんかと響いたのだろう。不幸なホルトン夫妻とその娘たちは、眼をぱちくりさせて顔を見合った。

女は英語が解らないのだ。ABCも識らないらしい。声は音楽的な低音で、落ちついて聞いていると旋律的な調子なのだが、何しろ双方言語不通で、何がなにやらさっぱり判らない。

「どこの人だね、お前さんは」

「ああ、がぎぐげご!」

「え? 何か用かね?」

「おお、ばびぶべぼ! ばびぶべぼ!」

「仕ようがねえな」当惑したホルトンが細君を返り見て、

「弱ったな。何うしたもんだろう――」

相談をはじめると、女は、夫婦の顔をにこにこ見較べて、

「だぢづでど」何ごとかひとり呑み込んでしきりに合点いている。「だぢづでど!」

ちんぷんかんぷんこの上なしという会話だ。ホルトン家の人々も女も、とうとう匙を投げて笑いだしてしまった。