일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면

아오조라 문고

ことに、上を下へと逆上してやることだから、耐ったものではない。ボウトの底の水栓を外した儘下ろす、水も食糧も積み込まないうちに綱を引く。途中でロウプの操り方を誤ってボウトはバランスを失って真っ逆さまに人を降らす――タイタニックの乗組員に、この肝心のボウト下ろし方の習練が出来ていないのを知った時、突如狂気のような暴動が全船客を捉えたのは無理もない。

甲板上は露骨な争闘だ。生きんがための地獄を現出した。婦人と子供を真っ先にボウトに乗り移らせるのは、難船の場合の常識である。それを無視して、発狂したような男達が女を突き落す。子供を※ね飛ばす。ボウトの傍には高級船員が拳銃を擬して立っていて、こういう者は射殺して構わないのだ。中には、自分の妻を先に出そうとして、他の女達を必死に押し退けるもの、良人に獅噛みついて離れまいとする妻、暗い甲板に取り落されて無我夢中の船客の群に踏み躙られる嬰児、子供たちの悲鳴と、もう、恥も外聞もない合唱のような婦人連の泣き声――その間もタイタニックは、船首を海中に突っ込んで、緩く大きく逆立ちの形に傾きつつある。断じて沈まないとされていたタイタニック号が、まるで襤褸貨物船か何ぞのように他愛なく沈み出したのだ。