후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
中当番として朝の四時まで、二等運転士のストウン Stone が見張りに立っていた。
一人ではない。見習運転士のギブスンというのが助手格についている。若い連中である。寒さと眠気を撃退するために、矢鱈に船橋を歩き廻って饒舌り散らしていた。
「何だい、あれは船じゃないか」
見つけたのはストウン二等運転士だった。遠く微かに船の形らしいものが浮かんで、檣頭燈とサイドの赤ランプと、それに甲板の灯が二つ三つ、水平線上の星に紛れて、少さくぼんやりと瞬いて見える。
「船です」見習のギブスンが答えた。「夕方から見えていました」
「動かないようだが、何してるんだろう、あんなところで」
「僕らと同じに氷山を遣りすごそうとしているらしいんです」
「そりゃあそうだろうが、それにしても、何だか様子が変だな」
キャリフォルニアン号は、浪に乗って漂っている。卓子のように海の静かな晩で、船体は遊ぶように、大きくゆっくりと左右に揺れているだけだ。この、救助作業には持ってこいの天候にも拘わらず、あれだけの犠牲者を出したところに、タイタニック号事件の拭っても拭い切れない汚点が存する。
ストウン二等運転士と見習ギブスンは、キャリフォルニアン号の船橋に立って、タイタニック号の死の苦悶をそれと気付かずに終始眺めていたのだ。