후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 264,133자 · 524화면
さて、甲府の町へ入るには入ったけれど、どこへ行こうという当はありません。神尾主膳の邸と言ったのはもとより出鱈目ですけれども、うすうす心のうちでお銀様が心当てにして来たのは、それは役割の市五郎の家でした。
役割の市五郎を訪ねることに心をきめたお銀様が、案内を知った甲府の町の道筋をお城の方へと歩いて行くと、子供の泣き声が聞えました。
その子供の泣き声がいかにも物悲しそうに聞えて来ました。弱い帛を長く裂いてゆくように泣き続けて、やがて咽び入るようになって消えたかと思うと、また物悲しそうに泣く音を立てて欷歔り上げる泣き声が、いじらしくてたまらなく聞えます。
お銀様は、どこからともなくその物悲しい子供の泣き声を聞いた時にはじめて、もう夜も大分ふけていることに気がつきました。気がついて立ったところのすぐ眼の前に、こんもりと一叢の森があることを知りました。右の方は城内へつづくお武家屋敷があることを知りました。眼の前の森は穴切明神の森であることも、甲府の地理に暗くないお銀様には直ぐに合点がいったのです。その明神も見えるし、その森蔭にはお小人屋敷なんぞもあるのですから、闇の晩とはいえ、それを見極めることになんの手数も要らないわけであります。