후리가나로 읽는 일본 고전
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
佐々木 味津三의 旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 240,656자 · 478화면
禄高十二万石の御門番ですから、屈強な御番士が門を預かっているのに不審はないが、余程退屈しているためにか、それとも目がない程に好きであったためにか、ひとりでしきりに将棋を差しているのです。それも何かむずかしい詰め手にでも打つかったものか、やや顔を青めながら、やけに腕を拱いて考え込んでいる姿が目に映ったので、退屈男は急に何か素晴らしい奇計をでも思いついたもののごとく、にんめり微笑をもらすと、その武者窓下にぴたり身を平みつけて、わざと声色をつくりながら、突然陰にこもった声で呼びました。
「ゴモンバン――こりゃ、ゴモンバン――」
屋敷が隅田川へのぞんだ位置であったとこへその呼び方が並大抵な呼び方ではなく、さながら河童ガ淵の河童が人を淵の中へ呼び入れる時に呼んだ声は、こんな呼び声ではなかったろうかと思われるような、気味わるく陰にこもった声で御門番とやったので、番士は少々ぞっとしたらしく、恐々やって来て恐々窓から表をのぞくと、きょろきょろあたりを見廻しながら呟きました。
「――変だな、たしかに今気味のわるい声で呼びやがったがな。気のせいだったかな」
のぞいて、姿のないのに、いぶかりながらまた将棋盤に向ったらしいのを見すますと、退屈男の同じ不気味な声色が深夜の空気をふるわして陰々と聞えました。