후리가나로 읽는 일본 고전
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
佐々木 味津三의 旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 240,656자 · 478화면
何でもないと思えば何でもない。
何か企らみがあると思えば思えないこともない。
突然、京弥のおもてに、さッと血の色がのぼりました。
「お支度なさりませ!」
「いってくれまするか!」
「ぼんやり待っておりましたとて、心配がつのるばかりでござります。何ぞ容易ならぬこと、起きているやも計られませぬ。お伴仕ります!」
緋じりめん鹿ノ子絞りの目ざめるような扱帯キリキリと締め直して、懐剣甲斐々々しく乳房の奥にかくした菊路を随えながら、ふたりの姿は朝あけの本所をいち路番町に急ぎました。
陽があがって間もないのに、江戸の六月は朝まだきから蒸し風呂のなかに這入ったような暑さです。
「あれじゃ、あれじゃ。あの大きな屋敷がそうでござります」
「どのようなことがあっても、狼狽えてはなりませぬぞ。京弥が抜くまでは抜いてはなりませぬぞ」
うしろに菊路を庇って、油断なく門前へ近づきました。
だが、屋敷のうちはしいんと静まり返って、ことりとの音もない。
八文字にひらかれた門から大玄関まで、打ち水さえもが打ってあって、血の嵐、争闘、殺陣は元よりのこと、騒ぎらしい騒ぎがあったらしい跡もなく、不気味なほどに静まり返っているのです。