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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
呼び終わると物具を脱ぎ、敵勢の中へ投げ下ろし、腹一文字に掻き切った。
この日も黄昏になった頃、宮方の落人を搦め取れと、武家方の兵ども、高野への山路を、騎馬徒歩にて走らせていた。
と、林から唸りをなして、矢つぎつぎに射出され、見る見る数騎射落とされた。
一旦討手は退いたが、
「敵は小勢ぞ、一人か二人じゃ、探し出して討って取れ!」
と、林の奥へ馳け込んだ。
と、木蔭から徒歩の若武者が、太刀を振ってあらわれ出たが、真っ先に進んだ敵の一騎の、馬の諸足薙いで仆し、落ちるところを討って取り、つづいて十数人を討ちとった。
義光の子息義隆であった。
しかし終日の戦いに、全身十数箇所の傷を受けていた。
(宮様遠く落ちられたであろう。殺生ももうこれまで)
こう思って林の奥を目ざし、敵と別れて走り込み、馬酔木の大藪を背後にし、ドッカと草に坐ったが、鎧通しを引き抜くと、左の脇腹へ突き立てた。
おりからはしって来る足音がし、一人の武士があらわれた。
「敵か味方か存ぜねど、われは村上蔵人義隆、敵ならば首級とって功名にせよ! 味方ならば介錯たのむ!」
すると走って来た武士は叫んだ。