轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
浮藻はよろめいて部屋の隅へ行き、そこに立ててある衝立に縋った。
と、煤けて木目さえ見えない、その古い衝立が仆れ、その背後に若い男が、骨と皮ばかりに痩せ衰え、死の前の昏睡にはいっているのが見えた。
浮藻はベッタリと床へ坐り、這いながら庭へ下りようとした。
と、庭から跣足で歩く、足の音が聞こえて来た。
足音は土間へはいって来た。
白髪をパッと顔へかけ、よごれた白い行衣を着、手に磨ぎ澄ました出刃を持った老婆が、上り框から半身をのぞかせ、口を開けて笑いかけた。
それは鬼火の姥であった。
「浮藻殿オ――ッ」
と姥は云い、ノシノシと部屋へはいって来た。
「ようわせられた、わせられたのう」
たくし上げた裾から洩れて見えるのは、垢じみ穢れ痩せながら、筋逞しく現われている、男のような足であった。
その足で姥はノシノシと近寄り、捲くり上げたこれも筋だらけの、陽やけして赭黒い手によって持たれた、出刃庖丁を振りかざし、
「高燈籠の燈で釣って、道に迷った旅の者を、この一つ家へおびき寄せ、女は他愛なく料って殺し、男は生かして衰えるまで、わしの精力の犠牲にしていたが、汝ら二人も同じ燈に釣られ、わせられたそうな、ようわせられた! ……竹藪にかけてある罠にかけて、金地院範覚は生け捕った! 汝を料理した血だらけの手で、今夜から範覚は以前どおり