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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页
四
自然科学が技術のために、そして技術が一定の経済組織のために、召し出されているという事実を知らない科学者は、科学者ではないだろう。――で科学者によって例の迷信は単に利用されているにすぎない。その限りつまりそれは実際には一応打破されているわけである。
四
だが、科学と生活との距離に就いての迷信を打破しても、その打破の仕方が科学的でなければ、本当に打破したことにはなるまい。科学者の多くは科学と生活とを、極めて卑近に功利的に結びつけるに過ぎない。社会科学的な又哲学的な知識を媒介として結びつけるのではなくて、科学の専門的な知識と、非科学的な世間常識又は一身の利害の判断とを、直接に結びつける。之では科学の文学的意義は見つかる筈はないのである。科学の文学的意義の第一歩は、科学的専門領域の連関づけ・総合・世界観的統一・に於て現われるべきである。一体色々な専門領域は歴史的に分化して来たものだから、之らを結合するには歴史的な原理によらなければならぬ。科学の歴史・認識の歴史の理解がそこに必要となる。ここから諸科学は日常的な政治的な人間生活の一場面として「生活」に這入って行く。