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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页

青空文庫

に基くヒューマニズム的文学意識から、反発されたのであった。即ち日本に於ては文学はそれ程狭いスケールに於て教えこまれていたのである。近代日本の文学意識は、自分自身の直接の感覚のアッピールを信じては悪いと思う程、それ程文学上の優等生で品行方正だったのである。

併し〔第一次〕大戦後のアメリカと日本とに於ける好況、そしてヨーロッパ大陸に対するアメリカの君臨とヨーロッパの屈服、それに世界的水準にまで追いついた日本の生活意識に於ての成人。こうしたものからモダーニズムは所謂アメリカニズムとして、日本に流れ込んで来ることを、妨げる如何なる「教養」もあり得なかった。――そこで日本に於ける文学上のモダーニズムは、文学と或る点ではイコールだと教えられていた各種のヒューマニズム(個人主義・人格主義・モーラリズム・人生派・深刻派・高踏派)、日本風に人道主義化された自然主義(日本自然主義は日本ブルジョア文学の出発点であり基調をなすもので今日日本の純文学者が多く云わば「文学的自由主義」に立っている原因はここにあるが)、それからこれ等のものに必然的に伴っていたセンチメンタリズム、こうしたものの批判として現われたのであった。