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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

水門に行き悩む巡洋艦『最上』

怪艦の形は遠くから見ると大巡洋艦『高雄』に似ているが、近づいて見ると非常に違っていることが分る。

『高雄』のようにいかめしく角張っていないのだ。艦全体がまるみを帯びている。新しい飛行機によくある形の、あの流線型だ。

そして月光にもまさしく見えるものは、三聯装十五門の十五糎砲ではないか。

艫の艦名をすかして見よう。『もかみ』!

アッ『最上』だッ。聯合艦隊の編制に洩れた『最上』が、いつのまにか、この魔の島に姿をあらわしたのだ。

ああなんという巧妙な操作(軍艦の動かし方)だろう!

わが巡洋艦『最上』は、激流にさしかかると、ぐっとばかりに四十五度の転換をやって、左を向くと、水煙につつまれながら水門に突っこんで行った。そして、たちまちその姿は水門のかなたへ、かくれてしまったのだ。

――後にはただ絶壁が月の光をうけて、黒々とそびえ立っているばかりだ。

太平洋の荒波が、岩にくだけて咆えたてているばかりだ。

水門に行き悩む巡洋艦『最上』

鬼の島、――碧海島の水門へ、水煙を立てて突っこんで行った巡洋艦『最上』。

その姿は百五十米もある絶壁のかげへ、吸いこまれるように消えて行く。