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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

降伏せぬぞ

そして、友を失い、ただ一機となった『荒鷲』第十三号機は、今、伊豆大島の沖をかすめているのだ。

○

「ね、お父さん、潜水艦が空をとぶなんて、東洋の科学者はえらいんですね。武田博士はエジソンよりえらいかしら?……」

アーサー少年は、沈黙の父の肩に手をかけた。

「…………」

「ね、ロケットの動力で速力をはやくしたり、おそくしたりなんて、武田博士は二十世紀科学の偉人だなあ。」

少年は、フーラー博士の顔をのぞきこんだ。青白い父の頬に、二すじの涙の跡が光っている。ああ、フーラー博士は泣いているのだ。

その涙は、戦敗の悲しみだろうか、科学の争いに負けた恨だろうか、それとも愛するアーサー少年と一しょに、太平洋のもくずと消えねばならぬことを、なげいているのだろうか。

伊豆の海は荒れて、白い波頭がおどっている。もう八丈島をすぎた。碧海島の黒い影が、水平線の上へうかび出た。

降伏せぬぞ

下志津原を後にした飛行潜水艦『富士』は、弾丸のような速力で九十九里浜の上空へあらわれた。

太東岬の空たかく、『荒鷲』第二中隊の六機が、いまや第二回東京爆撃に向おうとしている時だ。

六羽の鷲が、銀色の眼をらんらんと光らせ、羽ばたきして北に向うもの凄さよ。