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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

※(「火+華」、第3水準1-87-62)代さんはふるえる手に望遠鏡をにぎって、その影を追った。どす黒い雲の絶間をぬうて、底気味のわるいうなりを立てながら、ぐんぐんやって来る真っ黒な姿。

見るからに強そうだ。遊撃隊司令官木下大佐も、小川中佐も、みんな心配な顔をしている。

「仕方がない。隊形をばらばらにしよう。」

木下司令官の命令で、信号旗があがって、わが四隻の巡洋艦はちりぢりに離れてしまった。縦陣(⊂⊂⊂⊂)になっていても横陣(∩∩∩∩)になっていても、一しょに狙われるから危い。旗艦『最上』は左へ舵をかえた。二番艦の『千種』と三番艦『吉野』は右へ別れた。一番後の殿艦『三隈』は、そのまままっすぐに走って行く。

さすがの昭和遊撃隊も、今やちりぢりばらばらに陣をくずしてしまったのだ。

『最上』の武田式機関は、ぱちぱちと青白い火花を散らして重油を焚いている。四十ノットの快速力で逃げるのだ。

荒れくるう波が、ごおーっと音をたてて、八千五百噸の大艦『最上』も、やがてもうもうとたち上る水煙につつまれてしまった。

四門の呉式高角砲は、天に向って砲口をひらき、今にも火ぶたを切ろうとしている。