轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
と云うと、亭主は妙な顔をして、ジロジロわしを眺めていたが、
「アハハハハハ、地味じゃございませんよ。あなたのお年配なれば、丁度この辺の所がお似合いです」
わしはそれを聞くと、びっくりした。古袷は五六十の爺さんの着る様な縞柄だ。それがわしに似合いだとは、あんまり失敬な云い草ではないか。
よっぽど叱り飛ばしてやろうかと思ったが、この親爺があんなことを云う所を見ると、ひょっとしたら墓場の中の苦しみで、わしの相好が変り、年寄りじみて見えるのかも知れぬと気づいたので、鏡はないかと尋ねると、土間の突当りに古ぼけた姿見が懸っているのを、教えてくれた。
わしは何気なくその鏡の前へ歩いて行って、そこに映る我姿を眺めると同時に、ゾッとして立ちすくんでしまった。
鏡に映っているのは、わしではない。見るも恐ろしい怪物だ。わしは、若しやどこかにその様な怪物が立っていて、それが鏡へ映っているのではないかと、思わずあたりを見廻したが、無論誰もいる筈はない。
わしは試しに右手を上げて、頭に触って見た。すると、どうであろう。鏡の中の怪物も、同じ様に手を上げたではないか。アア、その怪物こそわしの変り果てた姿であったのだ。