轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
あまり残酷で、どうもあと味がわるい。それで、実はあなたがたから逃げていたのですが、こんどは、ちょっと相談に乗ってみようかなという気が起こった。ちょっと訳があってね」
影男もあいそがよかった。
「では、さっそく用件にとりかかりますがね。ある富豪から、ひとりの青年紳士をやっつけてくれと頼まれたのです。これには相当の報酬が出ます。ですから、あなたの立案料も、こんどは五百万円まで奮発しますよ。そのかわり、会社のほうへ絶対に疑いのかからないような、とびきりの名案をひとつ考えていただきたいのです」
ボートはゆらゆらと快適に揺れていた。風はなく、空は青々と晴れて、暖かい陽光がさんさんと降りそそいでいた。そのボートの中のふたりは、にこやかに笑いかわしながら、のんびりと、とりとめもない世間話でもしているように見えた。
「よろしい。取っておきの名案をさし上げましょう。それにしても、立案料が五百万とは奮発しましたね。あなたの受け取る報酬はその何倍ですか」
影男が、やっぱり笑いながら、皮肉にいった。
「どういたしまして、せいぜい二倍ですよ。こんどの件は、相手がしたたかものなので、よほど慎重にやらないとあぶないのです。