轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
円筒がふたたび静止すると、目の前の鉄の壁に、縦に糸を張ったような銀色の光がさし、それがみるみる太くなっていく。円筒の壁の一部がドアになっていて、それがひらいている。向こう側の電灯が、ドアがひらくにつれてさしこんでくるのだ。
池の底では円筒が二重になっていて、出入り口も二重ドアなので、けっして水が浸入するようなことはない。人々が円筒を出ると、二重ドアは自然にしまっていく。
「こちらへ」
黒ビロードの男が先に立って、地底の洞窟を奥へ進んで、岩膚と見わけのつかぬ一枚のドアをひらくと、そこに接客用の小べやがあり、イスやテーブルが置いてあった。
「これはようこそ。お電話がありましたので、お待ち申しておりました」
まるまると太った色白の顔にちょびひげのある紳士が、イスから立ち上がって、西洋流のゼスチュアであいさつした。
「ぼくは二度めですが、このふたりははじめてです。例の極楽を見せてやりたいと思いましてね」
影男がふたりを引き合わせて、みなが席につくと、案内役をつとめた黒ビロードの男が一礼して立ち去ろうとするので、影男はこれを呼びとめた。
「ぼくらの乗ってきた自動車は、ガレージに入れておいてください。