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しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页
遠くから見ると、絶壁の内側は大きな湾になっているらしい。――北の水門は湾の入口なのだ。
ああなんという壮絶な、ものすごい光景だろう※(感嘆符疑問符、1-8-78)
見よ。荒れに荒れた海流が二十浬以上のはやさで、湾の内へ流れこんでいるではないか。そして水門のあたりには竜巻のような水煙が、もうもうとしてたちこめているではないか。
音に聞えた昔の海賊村上流の水軍でも、又、山のような怒濤をものともしなかったバイキング海賊でも、この水門だけは乗り切れないだろう。
速力三十ノット以上の駆逐艦なら、勢いにまかせて突破出来るかも知れないが、それにしても水門の幅があまり狭い。恐しい巨岩怪岩が、波の間から黒々と頭をのぞかしているのを見ると、どんな豪胆な駆逐艦長だって、思わず身ぶるいして逃げ出すにちがいないのだ。
――だから碧海島は永遠の秘密境だ。無人島だ。
○
しかし諸君、昭和○年二月一日の夜、一隻の怪艦が、この島の北の海上へぽっかりと姿をあらわした。そして、大胆不敵にも艦首を魔の水門に向けたではないか。
寒い空には烈風が悲鳴をあげている。氷のように冴え切った月が、つめたい光を荒波の上へなげかけている。