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しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页
黒い影
沼の中のあちこちで沈んで行くライオン戦車を見ながら、わが兵は手のつけようがなく、残念そうに舌うちした。
スミス中佐は、捕虜になったけれど、
「これで、わが新兵器を敵の手に渡さないですんだぞ。」
と、痛快がった。
しかし、中佐の痛快はながくつづかない。馬をとばしてかけつけて来た立川師団長は、中佐をよんで、
「中佐、日本はライオン戦車などほしくはないぞ。君の自慢するライオンは、五百輛の大群で、歩兵陣地さえ破ることが出来ないではないか。」
と、きめつけた。中佐は、残念そうに、唇をかんだが、なかなか恐れ入らない。
「いや、ライオン戦車隊は、全滅しても、荒鷲爆撃隊は負けませんぞ。東京は、今ごろ焼野原になっているでしょうよ。」
と、肩をそびやかした。
黒い影
そうだ。『荒鷲』は、空の無敵艦隊だ。中佐がいばるのに不思議はない。しかし、もし、東京が、空襲されていたら、立川中将のところへ、すぐにしらせがあるわけだ。
しらせがないのは、参謀本部も警備司令部も、みな全滅してしまったからではないだろうか。
ライオン戦車隊はやっつけた。『隼』爆撃機もふせいだ。だが『荒鷲』だけは、ふせぐことが出来ないのではなかろうか。