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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

ここに住んでいる土人は、ラノン人とよぶ勇敢な一族だ。色の赤黒い、骨ぐみのたくましい、眼の光の強い土人だ。

椰子の葉で屋根をふいた、小さい見すぼらしい小舎に棲んでいるが、槍や刀や、弓、鉄砲だけは、立派なやつを持っている。

みんな元気で、山へ登ったら鹿よりもはやく走るし、海へとびこんだら、海亀よりも上手にもぐる。

かれ等は死んでから裏の火の山へ、『勇士の神』パンリマとして祭られることが望だ。だから、何よりも卑怯なことを嫌っている。

かれ等は南洋土人の中のスパルタ人だ。日本人だ。

いや、かれ等は本当に、「日本人の祖先は、わがラノン人だ。」と信じて、それを自慢にしているのである。

それは土人たちの思いちがいかも知れない。しかし、かれ等の祖先が、英国やオランダの海賊や軍艦を向うにまわして、勇ましく戦ったことは本当だ。

昔、西洋の船乗たちは、『ラノン海賊』の名を聞くと、ぶるぶるふるえ上ったものである。

この勇敢な土人たちに、『生きたパンリマ』(勇士)として、あがめられている一人の日本人がある。

顔中髭だらけの青年だ。その名は関矢一郎。南洋産業会社のナツナ島椰子林の監督である。