轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
お恥しい品です」
わしの言葉が終らぬ内、彼はもう小凾の蓋を開いていた。そして、一目その中の宝石を見るや、アッとばかり感歎の叫び声を発した。
「この大きなダイヤモンドを、五つともみんなですか。みんな瑠璃子さんへの贈物ですか」
「そうです。智慧のない贈物で恐縮しているとお伝え下さい」
わしは事もなげに答えたが、この高価な贈物には、川村ならずとも驚かずにはいられぬだろう。わしは予め上海の宝石商に見せて大体の値頃を鑑定させたところ、五つで三万円なら今でも頂戴するとの答えであった。いくら二十年振りの帰朝者とは云え、妻でもない女に三万円の贈物とは、少し大業だが、姦夫姦婦にわしの成金振りを見せびらかす為には、この位の奮発はしなければならぬ。
ちょっとした土産にもこれ程のことをするわしの全財産は、一体まあどの位あるのだろうと、川村の奴定めしたまげたことであろう。彼奴等の度胆を抜くのがわしの目的なのだ。
そこで、川村は宝石の小凾をしっかり抱えて、コロコロと喜んでホテルを立去った。
これでよし、これでよし、仇敵川村と瑠璃子の両人に懇意をむすぶいとぐちはついたと云うものだ。