轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
アア何という口の利き方だ。これがS市社交界の紳士とあがめられる人物の言い草だろうか。
「まさか。……それにあの方は女嫌いだって云うじゃありませんか。さもしい邪推はお止し遊ばせ」
瑠璃子はちょっと川村を打つ真似をして、あでやかに笑った。
と、その時、突然部屋が真暗になってしまった。
「アラ」という瑠璃子の軽い叫び声。
「停電の様だね」と川村の声。
フフン、何が停電なものか。わしの秘書役の志村が、約束通りホテルの配電室に忍入り、そのスイッチを切ったのだ。Sホテル内丈けの人工停電だ。わしがさっき定めの時間といったのは、このことであった。
わしは急いで、部屋の一方に仕掛けて置いた小型の機械の側へ走って行った。すると間もなく、隣りの客間から、たまぎる様な女の悲鳴が聞えて来た。瑠璃子の声だ。
なぜ彼女は悲鳴を上げたのか。
それは無理もないのだ。停電で真暗になった客間に、いとも不思議な妖怪が現われたのだ。
暗闇の中に、薄ぼんやりと、何かモヤモヤしたものが二つ現われたかと思うと、徐々にそれが恐ろしい物の形に変って行った。闇の空間に二つの目が、各々が畳半畳もある、ギョッとする程巨大な二つの目が、ジッとこちらを睨んでいたのだ。