轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
いうまでもなく、それは瑠璃子の使用した病室だ。彼女が不義の子を生み落した罪の部屋だ。
わしはその部屋を最後に残して置いた。よく子供がする様に、一番おいしいご馳走はあとまで残して楽しむのがわしの流儀だ。だがとうとうその部屋へ来た。わしは襖の引手に手をかけながら客達を振向いて云った。
「あなた方は怪談をお好みではありませんか。若しおいやなればよしてもいいのですが、実はこの部屋は怪談の部屋なのですよ」
瑠璃子も川村も、この不気味な言葉にギョッとしたらしかったが、弱みを見せてはならぬと思ったのか、つけ元気で、是非見たいものだと答えた。
それではお見せしましょう、とわしは襖を開いた。赤茶けた畳、くすんだ襖、すすけた障子、陰気な茶色の砂壁、古めかしい掛軸、見るからに曰くのあり相な六畳の部屋だ。障子の外は縁側になって、庭に面しているのだが、曇り日の為か、軒が深いせいか、室内はまるで夕暮れの様に薄暗い。
「どうしてこの部屋丈け手入れをしなかったかと云いますとね。この陰気な味が妙にわしの心を惹いたからですよ。そうは思いませんか。まるで薄暗い世話狂言の舞台でも見る様な、何とも云えぬ味わいがあるではありませんか」