轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
ホテルの大食堂には、純白のテーブル掛けに覆われた大食卓に市内屈指の紳士紳商がズラリと顔を並べて待ち受けていた。
川村は一人一人に頭を下げながら、嬉しさに笑みくずれて主賓の席についた。
さて、食事の皿が次々と運ばれ、人々の手にナイフとフォークがキラキラときらめき始めたが、大いにお目出度い歓迎の酒宴でありながら、妙に席が白けて、一同言葉少なであった。
「里見君、僕は黙っている積りだったが、どうも聞かずにはいられなくなった。君、この宴会の人数はどうしたものだい。まさか、こんな不吉な数の招待状を発した訳ではなかろうね」
隣席のS市商業会議所会頭のT氏が、ソッとわしに囁いた。
「人数とは?」
わしは態と腑に落ぬ体で聞返した。
「ホラ見給え、我々は丁度十三人じゃないか。十三という数が、不吉だ位は君も心得ているだろう」
かつぎ屋のT氏は非常な不機嫌である。
「ア、それはつい気がつかなかった。成程十三だね。実は十五人に招待状を出したのだけれど、二人不参者があったので」
わしはさもさも困ったらしく答えた。
囁き声の積りであったのが、そんな低い声さえ隅々まで聞取れる程、一座が静まり返っていたので、この不吉極まる会話は、忽ち一同の知る所となり、口には出さぬけれど、お互に顔見合せて、一抹の不安が食卓に漂った。