轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
売薬で治るかと思うと、なかなか頑強な腫物で、治るどころか、全身に広がり、ついには覆い隠すすべもない、あれの美しい顔にまで出来て来た。
無論瑠璃子は、一目でも、わしに汚れた肌を見せようとはしなかった。顔には切傷でもした様に、ガーゼを絆創膏でとめて、それ丈けでは承知が出来ず、床についてしまって、わしが見舞に行っても、腫物のない鼻の上丈けを夜具の襟から出して物を云うという、いじらしい有様であった。
わしは駄々子の奥さんに、ほとほと困じ果て、川村を呼んで相談すると、彼も、余りに狭い女心を、おかし相に笑ったが、
「だが、無理もないよ。美人にとって、我が美しさが、どんなに大切なものだか、男などには分りゃしないよ」
と、彼自身並々ならず美しい顔に、同情の色を浮べて、
「いっそ君、温泉にでも転地させて上げたらどうだね。邸をはなれた温泉場の医者なら、診察を受けられるかも知れないし。……」
と名案を授けてくれた。
わしは、早速その説を採用した。幸いS市から汽車と人力車を併せて二時間程隔たった、Yという淋しい温泉場の近くに、空家になっているわしの持家があったので、それに手入れをして、妻を住まわせることにした。