轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
なぜ電球が下るのか、君分るかね。云うまでもなく、天井そのものが、同じ速度で床の方へ下っているのだよ」
川村は凡てを悟った。何噸というコンクリートの塊りが、彼を圧しつぶす為に、ジリジリと下降しつつあることが分った。天井と壁との間には少しの隙間もない。天井も床も滑かな平面である。虫けら一匹のがれる隙もないのだ。
皆さん、これは悪魔でなくては考えも及ばぬ智慧であった。復讐の魔神がわしに教えてくれたカラクリであった。部屋そのものを殺人兇器として用いた例があるだろうか。
川村は本当に気が違ったのかも知れない。目は天井に向けたまま、二十日鼠の様に、狭い部屋の中をシリンダアの中を、駈け廻った。
無駄なことは分り切っているのに、拳をふるって、四方の壁を叩き廻った。遂に手の皮がすりむけて、タラタラと血を流すまで。
「助けてくれ。助けてくれ。助けてくれエエ……」
身の毛もよだつ悲鳴が、四壁に反響して、異様な騒音となって、漏れて来た。
「ワハハハハハハハハ」
わしは小気味よさに、悪鬼の様に笑いこけた。
西洋の復讐譚には、罠にかかった犠牲者の哀れにもみじめな有様を見て、アッサリ復讐を思い切ってしまう例がよくあるけれど、わしはそんな弱虫ではなかった。