轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
併し、わしは云ってしまおう。わしは大牟田敏清というものだ。とっくに礼遇を停止されているけれど、お上から子爵の爵位まで頂いておった身分だ。それが、アア、皆さん大きな声で笑って下さい。わしは子爵の人殺しなのだ。
わしの先祖が、人種学上、純正の大和民族なのか、それとも、もっと劣等な人種から出ているのか、よくは知らない。だが、つくづく考えて見るのに、わしの家には、どうも皆さん方日本人とは違った血筋が流れている様な気がするのだ。なぜこんな妙なことを云い出すかというに、わしの見聞きしている丈けでも、祖父さんも、父親も、わしと同じ様に、ひどく執念深い男で、少しのことにも腹を立て、しかもそれを執拗に覚ていて、大抵の人は忘れた頃になって、恐ろしい仕返しをする、非常に残忍な性質を持っていた。「目には目を、歯には歯を」という、あの蛇の様な復讐心だ。
御維新までは、だが、それでもよかった。仇討ということが公許せられていた時代だ。併し、明治になってから生れたわしは、実に不幸であった。間接的な法律の力にたよる外は、私怨をはらす方法が、絶対になくなってしまったのだからね。
わしは不幸にも、そういう蛇の様な執念深い血筋に生れた男だということを、先ず第一に覚て置いて下さい。