轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
噂に聞けば瑠璃子夫人は、非常に貞節な方だというではないか」
と、わしがとりなすと、親爺はかぶりを振って、
「ところが、どうして噂と真実とは大変な違いです。私は丁度あの日町を通りかかっていて、バッタリ大牟田様の葬式の行列にぶッつかったのですが、物のはずみで、奥方の乗っている車の梶棒が私の腰にあたって、私はそこへ転がされてしまったのです。行列の側にウロウロしていたのが悪いと云えばそれまでですが、老人が倒れたのを見れば、一言位挨拶があっても然るべきではありますまいか。車夫は気の毒そうに私を見て、車を止めようとした位ですが、奥方は、あの美しい顔でニッコリ笑って、車を止めさせず、そのまま行ってしまいました。
私が倒れて、痛さに顔をしかめているのを、車の上から見おろして気味がいいとでも云う様に、ニッコリ笑ったのです。アア、あの笑顔。私はゾッとしました。私の女房も丁度あの通りの笑顔をする癖があったのです。まるで女房の幽霊に出会った様な気がしたものです」
老主人は云いながら、さもさも恐ろし相に、身震いをした。
わしはもう、このいまわしい気違い親爺の話を聞くに耐えなかったので、そのまま古着屋を飛出したが、どうも気になって仕様がない。