轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
と云いながら女房の胸へズブリと突き刺したのです。ハハハハハハ」
老主人は乾いた低い笑い声を立てた。
「私はすぐ様自首して出ました。そして、刑期を勤め上げて、やっと二年前に娑婆へ出て来たのです。前科者の素性は、隠していても、いつとはなく知れ渡るものです。それと分ると今まで挨拶をしていた人も、向うから顔をそむけて通る様になります。親戚なども見向いてもくれません。友達もなく、女房は勿論、一人の子供もないのです。
何の生甲斐もない身の上です。一層死んだがましだろうと、自殺を思立ったことも度々ありますが、今もって死にもえせず、こうしてしがない暮しを続けて居ります。旦那、本当に女は悪魔ですよ。大牟田さまなども、あの奥方を持っていれば、末にはこんなことになるのだと、私は蔭ながら御気の毒に思って居った様な訳ですよ」
わしはこの恐ろしい身の上話を聞いて、何とも云えぬいまいましい気持になった。人もあろうにその様な姦婦と、あの無邪気な瑠璃子とを比べるなんて、こいつ失敬千万な気違い親爺だ。
「だが、お前さんのお神さんが、そんな悪い女だったからといって、何も大牟田の奥方をそしることはなかろう。