轻松读懂日语经典作品
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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
「判った。そんならそれでいいが、絶対にこのことが新聞記者の耳に入らぬよう、この上とも充分に配慮してくれたまえ。……もしそんなことになったら、俺は何をしでかすか知れないぞ。これだけは忘れるな。帰ったら両大臣によくいって置いてくれたまえ」
次官は充分に申し伝えますといって、ほうほうの体で引退って行った。加十は、ううッと妙な声を発し、
「おお危い危い。第一段だけはどうやら感でやっつけたが、追々どんな奴がやって来るか知れたもんじゃない。ひとつ朝飯の来るまで少し寝ておくか。よほど頭をしっかりさせて置かないと都合が悪い」
といいながら伸びをしていたが、間もなく椅子の中にフンゾリ返って不敵な寝息を立て始めた。それから十分ほど経つといよいよ林が入って来た。林は扉口で、
「林謹直でございます」
と名乗りを上げ、平蜘蛛のようになってお声を待っていたが、およそ二分経っても何のお返事もない。林といえども、いつまでもそんな不自然な恰好をしていられるものではないから、恐れながら頭を上げ、爪立ちして鏡の中を覗き込むと、どうやら皇帝におかれてはよくお寝みになっている模様である。もしやお風邪でも召されては、と長椅子の上に投げ出されてあったお外套を取り上げ、それをお着せ掛け申すつもりでソロソロと椅子の向う側へ廻り込んで行って見ると、顎の下にだらし