轻松读懂日语经典作品
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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
山木はすっかり慌てて、あたしになんとかしてくれと泣きついて来たんですの。結局、養父に話して見ようかということになって、暮の二十七日に王様に一緒に行って貰い、正物を養父に見せると、養父も乗気になって、千万円までなら出そうということになった。おやじの方に掛引のないことは王様にも判ったので、では、それで手を打とう、ということになったの。ところが……」
松沢は息を嚥んで、
「ところが?」
印東はずるそうにニヤリと笑って、
「それが破談になっちゃった」
志摩徳は乗出し、
「ど、どうしてそんな事になったのかね、何か邪魔でも?」
「王様の方で気が変ったのよ」
「ほほう」
「その次の朝、安南から暗号電報が来て、王様が秘密にダイヤモンドを持ち出したことが発覚し、皇帝の反対派の、王様をおしのけて皇帝になりたがっている甥の李光明一派が、王様に独立資金獲得の計画ありとフランス総督に密訴するとかしないとかというえらい騒ぎになって……から、この際ダイヤモンドを売ることだけは是非とも思いとどまってくれるようにという侍従長からの急報なんで、王様も驚いて売ることは見合わせるといい出したの」
三悪人は意外な印東の言葉に思わず眼を見合せていたが、幸田は印東の方へ向き直り、