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まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
をなされたのだと思う他はない。
以上は加十の粗雑な頭でまとめられた考えだが、作者には又別な推察があるのである。
真名古の話では、皇帝はクロロフォルムを嗅がされて運び出されたという事だったが、してみると、皇帝はその節まだ麻酔の中を彷徨していられ、国祭日の夢でも見ていられたのではなかろうかと思う方がどうやら堅実のようである。
こんな些末な事はどうでもいいとして、ここまで辿り着くと、何のために安亀の一派が「歌を唄う鶴」の会を壊しに来たか、その意図も大略察しられるのである。
思うに安亀の一派は、何かためにする目的で皇帝を噴水の下に監禁したのだが、折も折、幸田、酒月の二人が人を喰った集会をやり、噴水の周囲に雲霞のように人を集めてしまった。ひょっとして王様に呼び出されでもしたら手に負えぬ始末になるので、噴水の鶴が定刻までに鳴かぬのを口実に、この会を壊すつもりで一暴れあばれたのだが、肝心のところで鶴に鳴かれ、びっくり敗亡して尻尾を巻いて逃げ出したものと思われる。
さすがに新聞記者の端っくれだけあって、無駄に腰を抜かしていたのではない、どんよりした頭の中で大体これくらいのことは考えていたのであった。