轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まと

魔都

久生 十蘭

「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页

青空文庫

それに違いありませんとも。……でもねえ、いまいったような御身分だから如才はありますまいが、そこはね」

などといっているのが聞こえる。

加十が客間へ入って来るのを見るとお馬婆は急にフッと口を噤んで腰骨が折れはせぬかと気遣われるほど大袈裟なお辞儀をする。五十五六の人の悪そうな婆。巡査部長はそろそろと加十の方へ近寄って来ると揉み手をせんばかりの科で、

「何しろ存ぜぬことで何でありまして……それはのちほど充分お詫び申すとして、……で、そういうことでありますと、この事件の経緯はあなたのお口から伺う方がよろしいかと思いますが……甚だ御迷惑でありましょうが、然し何と申しても重大な件でありますからして……、政府といたしましても」

加十はこの部屋を辞去し、再び鶴子を背負ってこの部屋へ戻って来たまでの経過を残りなく申し立てると、二人の官憲は眼を見合わせてニニヤニヤ薄笑いをしながら聞いていたが、加十がいい終るのを待って巡査部長は、

「ではこの部屋にあなたと被害者とそのほかにもう一人他の人物が居ったと申述されるのですな。で、その者はどこに居ります」

「ここに居なければ何処かに隠れて居るのさ。