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わかむらさき
わか紫
泉 鏡花
「新小説 第十年第一卷」1905(明治38)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,708 字 · 75 页
六
しかしだ、朝ッぱら口あけ仕事の邪魔をする、畳んでしまえ、とか何とかいって、むきになってかかられてみたが可い。
別にまた武者修行でも来れば可し、さもなけりゃ私だって、お前たちにゃ一人にも敵やしない。一堪りもなく谷底へ投られるんだ、なあ、おい、そんなもんじゃないか。」
今度は伝九郎が、
「どういたしやして、へへへへへ。」
六
「処を、清く、恐入ってくれたというもんだから、双方無事で、私も大に技倆を上げたが、いってみりゃ、こりゃ、お前方のお庇だよ。」
上衣の肩の動くまで快げに打笑い、
「就てはお前達が、洒落だという、その洒落が、ちとどうにか、ものになる相談をしようと思うが、一体何の洒落かね、こう見た処、どうもまんざら、この娘さんを手籠めにしようとしたようでもないな。」
いわれて雲平、
「旦那、綺麗な姉さんにゃ姉さんでござりやすが、から孫みたようなものを捉えて、色気で、どうこうというわけじゃなかったんで。へい、実は、少々御法度の、へい、手慰みを遣らかしておりましたんで。」
伝九郎もようよう窮屈そうな腰を伸した。
「ほんの出来心なんでござりやすよ、この節は、人車鉄道が敷けましたに就いて、こちとら、からッきし仕事といってござりやせん。