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わかむらさき
わか紫
泉 鏡花
「新小説 第十年第一卷」1905(明治38)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,708 字 · 75 页
二十四
三日の日に、この内が忙いから、お給仕の手伝に来たんです。
そして二階の八番へ行きました時、その方に逢ったんですわ。
いろいろおもしろい話をして聞かせてねえ。
それから、私、その時も白い前垂をかけていました。おかしい、およし、今に所帯を持ってから、そしてから掛けて台所へ出るが可い、取っておしまい。
そのかわり、お前にあげようと思って、宿で頼んで、間に合わせに拵えておいたからッて、畳紙に入っていたの。私はその方の奥様が着るのかと思ったんです。綺麗な衣服を出して、扱帯もありました。
私、おじいさんに見せてから、といいましたけれど、いいえ、着て御覧、ここでッて、それから帯も自分で〆めてやろう、結びようが下手だって、結んでくれたんです。
袖が長くて、その人の手に巻きつきますから、袂を肩へかけて廻ったんです。でも、あの、恥かしいから、こうして、襟を啣えておりました。
でもあの、襦袢の中から、このねえ、貰った手帳が見えましたもんですから、返せッていいました。」
二十四
「頭をふったの。だって厭なんですもの。あの時貰ったんですからこれは厭。衣物はいらないわッて、私ねえ。