轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页

青空文庫

「このへんがよかろう。きみも掛けたまえ」

小男の須原が、大きなカシの木の根に腰かけると、影男も向きあって腰をおろした。

「いったい、これはどうしたわけだ。残念ながら、わしにはまだわからないよ。まんまといっぱいくわされたね」

須原がふしぎそうな顔でいうと、影男はニヤニヤ笑いながら、説明をはじめた。

「東京港のボートの中で、お互いにピストルを見せあったね。きみが二五口径のコルトを持っていることは、まえから知っていた。それで、おれも同じコルトを手に入れたが、それがまったく同じ型かどうかを、あのとき確かめたのだよ。そして、このあいだの晩、きみがたずねてきたとき、そっときみのポケットのピストルとすり替えておいたのだ」

「エッ、すりかえた? いつのまに? これはおどろいた。きみは奇術師だ」

「奇術師だよ。おれのような世渡りには、奇術が何よりたいせつだからね。専門家について習ったものだ。そういうわけで、きみのポケットへすべりこませておいたピストルの最初の一発はから玉だった。あとは実弾だが、おれは一発で死ぬつもりだったから、それでよかったのだ。きみがあとになってピストルを調べても、残っているのは皆実弾だから、まさか最初の一発だけがから玉だったとは気がつくまいからね」