轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
この親方とは地所を買い入れるときに世話になった関係もあって、知り合いの間がらである。
早朝のことなので、親方はまだ家にいて、玄関へ出てきた。影男の綿貫は、そこの土間に立ったまま、ふたことみこと、さりげないあいさつをかわしたあとで、さっそく用件にはいった。
「親方、この先のわたしの土地だがね、いろいろお世話になったけれど、こんど事情があって売りに出すことにした。それでまあ、少し整地をしてから買い手に見せたいのだが、至急にひとつ地盛りをやってもらえないだろうか。できるなら、きょうからでも始めてもらいたいのだが」
「ようがす。ちょうどいま手すきの若い者が二、三人おりますから、すぐにかかりましょう。地盛りをするとなれば、あの古井戸もお埋めになるのでしょうね」
「それだよ。埋めようと思って、土だけは運んでおいたのだが、ついそのままになっていた。むろん、埋めてもらいたいね。どうせ水の出ない井戸だからね」
「承知しました。それじゃ、ごいっしょに現場へ行って、地盛りの見積もりをして、すぐにじゃり屋に土を運ばせましょう」
綿貫は親方をつれてあき地にもどり、地盛りの規模などを打ち合わせたが、親方は手早く計算をたてて、じゃり屋に電話をかけるために、自宅へ引っ返していった。