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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

」

『荒鷲』は、舵を下げて、槍岳、燕岳、蓮華岳の上を、低く低くかすめて飛んだ。

「本当に敵がいるんだったら、高角砲を射ちそうなものですね。」

「うん、もしかしたら、潜水艦が入江の底にひそんでいるのかも知れないぞ。一つ爆撃してみようか。」

「お父さん、それはいけません。僕らは武田博士の情で、生きのびているんです。ね、お父さん、どうか『富士』と決戦するまで騎士の礼儀を守って下さい。僕、おねがいです。」

アーサーは、父博士の腕にすがった。

「騎士の礼儀とは何だ?」

「約束を守ることです。ね、お父さん、白人の名誉にかけて、爆撃はやめて下さい。」

「いや、わしは碧海島を爆撃せぬとは、約束せぬぞ。爆撃手、爆撃ッ。」

フーラー博士は、とりすがる少年の腕をふり払って、号令を下した。

「ああお父さん、……」

アーサー少年は泣声を出したが、もう仕方がない。翼をはなれた爆弾は、見る見る小さい白点となって、碧海湾の奥の入江へ落ちて行った。

ごオーッ、緑の波はくだけて、時ならぬ竜巻がまきおこった。

「はははッ……『荒鷲』はむざむざと犬死はせぬぞ。」

フーラー博士は、大口をあけて、さも豪傑らしい笑い方をした。