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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

」

「はいッ、すぐつれて行きます。」

やがて、捕虜を乗せたボートが、『富士』の舷につけられた。

「おや、フーラー博士じゃないかッ。」

武田大佐はおどろいた。のぞきこむと、血にまみれたフーラー博士が、息もたえだえに船底に横たわっているではないか。そして、一人の少年がそのかたわらで、さも悲しそうに、さめざめと泣いているのだ。

「フーラー君、僕だ、武田だ、おい、しっかりしたまえ。」

武田博士は、そっと、ゆるがないように、ボートへ乗りうつって、あわれな敵の肩をかき抱いた。

フーラー博士は、眼を細くあけて、つぶやくように、しゃべりつづけるのだった。

「鮫だ、人喰鮫だ、鮫にやられたのだ。わしは東洋人には負けんぞ。武田博士がなんだ。負けるものか、あんな奴、畜生! あッ痛い。鮫の畜生! 武田の畜生! わしは鮫にやられたんだ。」

あわれ、強情な博士は、とうとう気がちがったのであろう。どんよりした眼の色は、この世の人とは思われない。

鮫にかまれた傷はなかなかの深手だ。出血が多いから、もうたすかる望はない。

「ああ、鮫! 鮫! アーサー、アーサー、かわいいアーサー。」

博士の手は、さぐるように、宙にもがいた。